
模造 平野皓大
へべれける一人二役年籠り
寝正月胃と懐におなじもの
ありんすと廓の燃ゆる初鏡
姫始血潮柔らかなるめぐり
綿虫や林京子を読みながら
なま肉の炎に縮む布団かな
雪眼鏡模造の月の青ざめる
呆然のそのまま棒へ風邪籠
電球もむき出しにある初詣
冬帝に首晒しても包んでも

短詩系ブログ

火 吉川創揮
うわの空うつくしくあり十二月
蒲団敷く藏の二階のがらんどう
一つ戀延々とあり針供養
湯に潛る頭に柚子のあたりけり
藥甁ずらりと夜や年送る
火桶抱く部屋に昔の雑然と
かくれんぼの鬼の納戸にゐるからは
爪光る火事のはじまりはじまりに
凩と足音よぎる眠りかな
火の縦に山の眠りを走りけり

ツイ廢 柳元佑太
午前はや空き腹の感都鳥
天皇もツイ廢もがな憂國忌
天皇やはれちんぽこに塗藥
三島忌やパンツの中へ幾夢精
寒寒と己が首視ゆ靈三島
三島忌の道連童子あはれめや
皇國や木枯勢を休なく
枝を離れ枯葉力學さやうなら
三島忌や日本腑拔けの啜泣
日本に火事また火事やパンケーキ

丈夫 平野皓大
望の夜の枯山水に生あれや
鬼すすき下痢の幻なる流れ
朝露のいつまで丸し雲作り
風の旬ここに風ある大花野
晩秋の住みよき膝を整ふる
四阿のこころ丈夫に月掬ふ
玉子酒神は昆布の遊びなの
十一月閉店が紙いちまいで
地下る寒き姿となりながら
竹馬のうしろ姿を電車から
*地(つち)

ままごと 吉川創揮
白壁を蔦の跡這ふ秋の声
銀の秋舌に飴玉たしかむる
光より小鳥の帰りきて窓辺
行く秋の影いちまいは針仕事
ままごとの家族は落葉暮しかな
落ちてゐる光はねぢや山眠る
山茶花の学校に来るこはい夜
外灯のぼんやり道の鯛焼屋
おやすみは蒲団の中のまつくらに
絵の外は冬晴の陰翳の部屋