
正面 吉川創揮
冬木の輪郭のありあまる乱立
砂時計冬の日にこの響きかな
落葉掃く時々に蛾の翅や腹
霜夜部屋そのままが液晶にあり
十二月扉の中に鍵の鳴る
空風にひらめく建築の途中
窓拭きのこんなにも冬夕焼かな
雑然と蒲団干されて向かいが家
雪二人うつとり黙りゐたりけり
後ろの正面の前にある枯木
短詩系ブログ
ままごと 吉川創揮
白壁を蔦の跡這ふ秋の声
銀の秋舌に飴玉たしかむる
光より小鳥の帰りきて窓辺
行く秋の影いちまいは針仕事
ままごとの家族は落葉暮しかな
落ちてゐる光はねぢや山眠る
山茶花の学校に来るこはい夜
外灯のぼんやり道の鯛焼屋
おやすみは蒲団の中のまつくらに
絵の外は冬晴の陰翳の部屋
夏痩 吉川創揮
夏山やかつ丼のかつつゆ浸し
窓がらす疎にして空家かたつむり
芍薬や雨みつちりと遠き景
手花火を配る係となりにけり
空間にプールの匂ふどこかの子
釣堀や夢から上がらない私
切株の羅列の午後に伸びてゐる
思い出に巻かれて夏を痩せにけり
コンビニの青秋だとか言うみんな
カーテンの向かうのこゑは秋のもの