涼し 吉川創揮

 涼し   吉川創揮

夏立つや白熊の黄の腹這いに

蛇の衣うすぼんやりの続きたり

校庭のこゑを見下ろす目高かな

うっとりとスプーンの落下更衣

夕立や戸棚開けば奥匂ふ

花あやめ水たまりとは繰り返す

空つぽの胃のかたちある端居かな

白い天井泳ぎきし髪一束に

夏の蝶ペットボトルに吸殻が

てのひらの白くすずしく別れかな

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