雨・川 吉川創揮

 雨・川  吉川創揮

雨音の硯を洗ふ部屋塞ぐ

秋の蛇這ひ来る耳の温き水

水溜まり覗いて行くは墓参

白萩の手の乾きまで撫で削げる

曼殊沙華口から糸を曳いてこゑ

十月は影滲みだす梢・人

コスモスの空ばらばらを結べば目

駱駝揺れ歩きて釣瓶落しかな

引き延ひて雲眩しさの水澄めり

秋燕に川の反射の濃き薄き

※延ひて(はひて)

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