秒 吉川創揮

 秒    吉川創揮

きらきらと蝶をもみ消す指ふたつ

睡ときに死そばに眼鏡の灼かれゐて

ナイターの灯に白ぼけて街続く

先生とすれ違ひたき夜店かな

金魚持ち帰る灯りに揺らしつつ

眼をふたつつくる夏蝶のちらつき

なんらかに蟻のたかりの大きさよ

長生きの気分に見遣る扇風機

蚊遣火や手を洗う癖移りきて

秒針や葡萄の皮の濡れ積もる

※睡(ねむり)

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