旗 平野皓大

 旗  平野皓大

虚子選や冷酒日和に友がなく

箱庭のかなりを芝にして戻す

寂たり寥たり祭をのぞきけり

遠雷の気まぐれ雲を八雲とも

水中花地獄くんだりし給ふか

幽霊の真水のやうな下宿かな

汗吹かる起床の腸が熱うある

背が割れてゐるから殻や南風

くちなはの勾配に枝の太々と

沖膾旗を干してはひらめきぬ

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