小鳥来て湖に雨続きけり 阪西敦子

所収:『俳コレ』邑書林 2011

 「小鳥来る」は秋の季語。さっぱりとした読後感のある1句。
 「小鳥来る」は字面や、歳時記で引けば『白髪の乾く早さよ小鳥来る』(飯島晴子)などがでることから分かるように、日差しの明るさなどをイメージさせる季語であり、それに「雨」を配したことに意外性がある。
 句の内容はシンプルで静けさに満ちていて、静物画を見ている気分になる。が、小鳥という小さなモチーフから、「湖」(場所)、「雨」(空間)、「続きけり」(時間)、と語を順に連ねることで、どんどんとイメージを広げていく句の構成は非常にダイナミック。

記:吉川

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