到来 丸田洋渡

到来  丸田洋渡

凧という字のうつくしさ空で照る

おぼろ月氷引きずる音のして

空中の蜂に格子状のあやうさ

蜂がいる部屋から蜂がいなくなる

春むずかし心は球根のように

花なずな二枚になっている未来

菜の花や骨のかがやき身の中に

手の先に足がある夢金盞花

瞳孔が砂礫のように漠としている

わたしがわたしで 取りこぼしそうだ

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