
盛衰 平野皓大
太陽のあらねど暑し瓜膾
背中ある炎天に坂急なれば
鉄橋を舌のみこむよ日傘
白桃を歩める蝿も岐阜提灯
盛衰のトランプ遊び唐辛子
秋の川くじは袋に屑となり
迎火にくるぶし膨れ草の花
光る遠のくそれらが魂や茸汁
流燈の巷たやすく通りすぎ
衣被ながき梯子と仕事して

短詩系ブログ


Let me take you down, ‘cause I’m going to Violet Fields. 柳元佑太
言語野にすみれの咲ける季とわかる こゑがすみれの色になるから
あなたのこゑはぼくのこゑよりもおそい、それをうらやましいと思へり
孤児院に孤児がひとりもゐなくなり、まつ白い箱だけがのこれる
いつぽんのすみれの花のうつくしさに、こゑが追ひつくまで待てばいい
雨がふるまへの匂ひで、すぐ帰る決意のできる友だちであれ
雨のふるあひだでもつとも音がせり 雨があがつてゆける瞬間
ほんたうのこゑを包んでゐるこゑが剥がれてきても冷たくはない
すみれ野は午のあかるさ すぐそこに夏のあらしがやつてきてゐる
もうぼくは優しさを休ませてをり すみれ野のふるすみれの雨に
原つぱのすみれの花をつむための、想像の友だちを忘れない