投稿日: 2021年6月25日2021年6月25日Rumble 丸田洋渡 Rumble 丸田洋渡 かたつむり真っ逆さまのシャンデリア これもまた宇宙のオルゴールに当たる 蛸が蛸で線路が線路でよかったよかった まるで疾風透けていて子どもたちって 毒の小瓶 光の小瓶 そのスケッチ 蛾のせいで踏んだり蹴ったり蛾のきもち 空もまた拷問される側 晩夏 棋士黄昏馬はいつかの葉桜の下 夜とはいえ 氷山を考えぬいた 闇で合う星の帳尻こんぺいとう
投稿日: 2021年5月21日2021年5月21日樹になる 丸田洋渡 樹になる 丸田洋渡 あちこちに林間学校の名残 変声の植物のような段階 りりかるに林立と落葉を聴く 古い風に惚れ惚れの蜘蛛が揺られる 円了忌空間で人擦れちがう となれば誤記 夢中夢を増殖する鏡 まぼろしの空の鳩尾ながびく雨 樹の裡に在るああ空鳴りの反射炉 うつらうつら樹になるバグの五月を迎え 倚りかかるいま夏を夢みている樹に *鳩尾(みぞおち)、裡(うち)、倚りかかる(よ-りかかる)
投稿日: 2021年4月9日2021年4月9日錆 丸田洋渡 錆 丸田洋渡 ゆきやなぎすべての車引き返す 木には木の病空には空の餐 紙匂う椿めくれる大きな手 行きとどく花のからだに鳥の恋 そこにゆれる知子どもたちは雪を催す 凍滝と同じやり方で 話す ヒヤシンス声錆びてきて夜な夜な研ぐ 天にある楽器・楽器屋・御茶ノ水 この世この夜サイダーを花茎で飲む 空間大切ぴったりと蝶いることで
投稿日: 2021年3月5日2021年3月5日Ghost in the Flower 丸田洋渡 Ghost in the Flower 丸田洋渡 熱さめて雪に英文法を見る 風ぐるま友だちの訃を聞きながら 花にかげ彼に彼らが憑いている 春嵐そして花と霊のいきさつ 花に霊重る十年前のラジオ 花ふる曲わたくしたちは傘の指揮者 怪談がいよいよトンネルに入る 机にはすみれ文字化けの液晶 考えは風につつぬけ金鳳花 引越しの花から花へ花畑 ※重(だぶ)る
投稿日: 2021年2月5日2021年2月5日めまい 丸田洋渡 めまい 丸田洋渡 ふしぎな舌もちあげ春の水琴窟 足は汀に飛行機のおもてうら 子どもにも大人のめまい蝶撃つ水 片栗の花サーカスのはなれわざ とつぜんに雪の術中小さな町 岬の密室どこまでが蜂の領域 輪のような推理きんいろ函の中 騙りぐせある蜂に花史聞くまでは 水景に祠のきもち誰かの忌 桜ばな樹の怪ものの怪ゆめみるとき
投稿日: 2021年1月2日2021年1月2日Aphantasia 丸田洋渡 Aphantasia 丸田洋渡 四季周回 心的レコードの蒐集 蝶が溶ける世界の溶け方を見ている 誤作動が紡いできたし継ぐつもり 水の多寡みている鴨と白鳥と 夢のなか雪のように来た郵便物 氷橋いつかの天国のあらまし 一対の鷺の想像力に賭ける 鶴もつづいて球体に そしてそして 見えにくい梯子の見えにくさについて 知的なふるまい詩的なうるおい貂を連れ立つ *蒐集(しゅうしゅう)、鷺(さぎ)、貂(てん)
投稿日: 2020年12月4日2020年12月5日Overlap 丸田洋渡 Overlap 丸田洋渡 秋も冷えて針を正確に思う 嘘ですが水族館がありました。 鮫のことなら雰囲気として判るよ 霜夜はるか流線形の流行ったころ 舌禍と句 話すの上手いね昔のこと 柚子湯夕ぐれ失踪も死あつかい 牡蠣鍋や転生を確かめあった 夢という大きな疲れ得て狼 雪の日の気分は火 死なないでいたい ね 鳰ふたつの椅子のように凛 *鳰(かいつぶり)
投稿日: 2020年11月6日2020年11月6日儀後 丸田洋渡 儀後 丸田洋渡 儀のなかの奇術しかるべきときに鷲 十六夜の身の欠損に新たな身 半癒半壊人と鹿入り交じり 角見せて錯覚の木の裏を鹿 罰すこし快ひとりでに洩れだす葡萄 枝豆に眼一回転する思い 水と子と水の子のくるおしい舞踊 光には光語があり長い吐瀉 虚実ある雪の虚に腕朽ちてゆく 伝承を激しく理解した 雪月花
投稿日: 2020年10月9日2020年10月9日everlasting 丸田洋渡 everlasting 丸田洋渡 胡桃ホテル戦争を話しますかね 威銃あたまのなかの樽のなかまで 感性の空とぶ魚群ぷちぷち死ぬ 鹿振りむく風がたしなめる空位 霜降や空もひとりの悲しい子 艦おちてくる雪のはじめてのように ああ空の産卵期ひとつずつ磨く 季として死あるのかも空色の空 これからは海の海たる不安のなかで 終わってもつづく映像/映像美
投稿日: 2020年9月4日2020年9月4日天使感 丸田洋渡 天使感 丸田洋渡 天使感ある一瞬のわたしたち 心臓=檸檬 生まれすぎた子ども からくりを新涼の地/月球儀 月ぐうぜん卵のかたち袋角 引用者 子どものなかの誰かの血 子どもが月を 直視している こころ昂る窃盗は夜のうちに この網に月かかるのは時間の問題 世界は蚊のように震えていました。 天使感ある熱演のわたしたち