出目 平野皓大
あるときの船尾に冬の日がつのる
人波のほうへ甍の千鳥ども
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双六の出目にまかせるあそびかな
日向ぼこ芯を抜かれてゐるごとし
熊穴へ入りてなにかしらをかかへ
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大群の柳葉魚のまがひものである
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かずのこの粒のからまる痰を噛む
垂らされてゐる照明におでん待つ
手を出さずして綿虫を求めたる
すかす屁に肚のしまりや雪礫
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紫の座り踊りのちやんちやんこ
あゆみ来る紙のふぶきの雪女
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鰭酒のみるみる冷えて鰭が浮く
枯蘆を横目にさはさはと言ひて
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春を待つ双眼鏡に目がふたつ
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