新酒 平野皓大

 新酒  平野皓大

色街をおもしろく見て青瓢

さしもなき日の対岸の鰯雲 

掌にうつせる秋蚊脚を曲げ

神の旅カメラ一日して壊れ

魚鳥の栖をわたる秋の雲

人に雨虫売の眼の奥の熱

裏町をひつつき通ふ踊唄

秋扇いたづら広く開きけり

台風の留まらぬ眼に憧れて

今昔を新酒明るく温かく

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