空と鍵束 丸田洋渡

 空と鍵束  丸田洋渡 

墜ちながら声がきこえる昼寝覚

鍵として舌つかうとき向こうも鍵

わたしにもわたしが欲しい韮の花

淵も咲くほどの月光ふたりの脚

宇宙ごと錆びてしまえたらなとおもう

かなしみや岐路から岐路へ鳳蝶

夜も朝も祈念のように白飛白

宝石のあかるさにまで火葬式

夢として鍵に扉が過剰であった。

鍵束 空をひらいてまたとじて

 ※韮(にら)、鳳蝶(あげはちょう)、白飛白(しろがすり)

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