雪癖や獄窓めけるひとつ窓 草間時彦

所収:『中年』竹頭社 1965

雪癖とはなんのか、一旦降り出したらそのまま翌る日も降り続けるようになる事を癖と表現したのか、それとも窓からなんの気なしに降る雪を見てしまう事を癖と言ったのか。よく分からないけれど、確かに雪は癖である。それにしても獄窓には窓がある。外を意識させた方が酷になるのか、それともまったく外が見えない方が酷なのか、多分後者なのだろう。狂気を飼い慣らすためには、窓が必要なのだろう。外を眺めながら、もの思いに耽る時間が安定をもたらすのだろう。人間にも口が一つあって、そこから何かを喋ったりするのだから。

                                    記:平野

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