いろは 平野皓大

 いろは  平野皓大

雨乞や暑を焚きしめて蛇は息

餅を焼くための団扇や天気雨

気にいつて臍ある神を水団扇

姫糊をうすくつめたく夏の月

製本の紐のいろはも青すだれ

白百合を乾かす風に帆は西に

山嶺に日矢のかからん鯖の肌

舟虫や鉄のあからむ日本晴れ

呉の越のぐらぐらしをる舟遊

つややかに細みの針を鯵の口

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