天井 吉川創揮

 天井  吉川創揮

つちふるや目覚めて指のあるふしぎ

行く春のスプーンの銀を舌のうへ

葉桜や自転車の眩しき転倒

五月来ぬ顔に人影落ち掛かり

更衣こゑにのどぼとけの上下

翡翠を見し目いくつものまばたき

ほうれん草天井に雨騒がしき

枝に張る夜の分厚さや金魚玉

歩くこと思ふことへと夏休

夜が来る部屋に冷蔵庫と僕と

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