これ以上澄みなば水の傷つかむ 上田五千石

所収:『風景』牧洋社 1982

秋の爽やかな大気を映した美しい水の様子を表す「水澄む」を季題とした一句。これ以上澄んでしまったならば、という意味の表現なのでこの句が捉えているのは、澄みゆく水の一瞬の表情だろう。傷つくはずもない水に対する「傷つかむ」という表現が、水の表情をへの想像をより豊かにする。澄みゆく水の美しさと、美しすぎるが故の危うさ。傷ついてしまいそうな繊細さ。それらを合わせもった不思議な水の表情。
この句を読むと、毎年のように見ている秋の日ざしに瞬く水に、人の手の及ばない自然の凄まじさが潜んでいることを思わされる。

記:吉川

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