蝶旅團 柳元佑太
百貨店(でぱーと)の柱の卷貝(かい)よ雪豫報
孤獨とは島嶼(しまこじま)なれ沖に鮫
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冬空を旅(ゆ)く一と筋の花粉粒(かふんりふ)
氷るものなき蒼天(あをぞら)や猶ほ氷る
人住めば有穢や凍蝶旅團なす
流星の冷たく火(も)えて土龍の死
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山茶花や群衆(くんじゆ)の糞を菌が喰(を)す
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冬の僧獨り星閒徒涉(かちわた)る
僧乘せて飛ぶ座蒲團(ざぶ)もあり冬銀河
月の光暈(はろ)凍てをり猫の艶天與
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寢て覺めて鼯心地(むささびごこち)ひた滑空(すべ)る
寒き大氣が月光を濾過すなり
科學寒し人類既に月を步(ほ)し
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繪を颯と視枯蘆原と云ひしのみ
天充たす雪の氣配に樹樹騷ぐ
明晰に禽影走る雪の上
雪の日の地平の山の蒼げむり
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雪蒼く降り込みゐたり舊象舍
冬の太陽(ひ)の熱拜む鳥獸蟲魚
水枯れて葉書は葉たること忘却(わす)れ
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