寫眞館 柳元佑太
たましひなんて信じないおまへVS魂魄を抜くカメラ・オブスキュラ
おまへは寫眞館のやうだな、あたたかい暗室を持つおのれのうちに
パブロフの犬なる暗がりの吾ら 愛せなくなるまで愛せたら
眼は窓か 光を容れし部屋に唯一人のための植物が咲く
夕暮のわれは犍陀多、起きしなのわが思惟からむ天井の蜘蛛
海底の圖書館は蒐集せよ夜夜の嵐に船沈むたび
ぎんなんの匂ひを厭ひ龍も嘆き合ひしかぺるむ期じゆら期
銀杏樹に火を虛視ればたちまちにSodomの町か火球降り繼ぐ
火に棲む魚の顏かたち言うてみよ、優しいおまへ優しいおまへ
天體の蝕の一ㇳ日も延々と蟲湧き出づる蟲食林檎
*圖書館(ビブリオテカ)、龍(ドラゴン)、虛̪視れば(そらみ-)