このアパートには住めない 柳元佑太
ぼくがまぼろしなのかもなあ 日溜りに睡ると見えて溶けてゆく猫
この町は河川敷から秋になり人々はそれをたまに感じる
テトラポットは波が好きだが仕方なく波を殺める だから墓です
人間が人間に抱きついてゐる、親密な可能性が高い
かなしみが展いた途だつて分かるあめんぼら薄れながら弾ける
ぼくといふ一人の他者の人称は、すべての色で光りかがやく
もしぼくがとても大きな龍だつたら、このアパートには住めないだらう
ママン宛の手紙を抜けだすな文字よ、宙をただよふ、蝶の寄り来る
虹はすべて何処かで蛇が死んだ合図だ、ママン、掃除をしてくれるなよ
合ひ言葉は会ふときに言ふので愛さ、Be Groovy Or B-Movie.