鰻  柳元佑太

鰻  柳元佑太

春休鰻を食ひにゆきにけり

茶畑は送電塔を連ね冷ゆ

さんぐわつの砂丘の奧に都市の夢

春の灘光は粒として流れ

半島を沖に突き出す椿かな

霾や原發に塔あらまほし

鳥歸る砂丘に尾根の生れて消ぬ

靑空の淡きを野燒げむりかな

美しき穢土を棲みなす子猫かな

朝日なほ霞が濾せど濃かりけり

みづうみの春の濤ともいへぬもの

春は曙卓に地球儀天球儀

湖照るや旅も朝寢の癖拔けず

久方のひる花冷を氣象病

春愁ひ湖上に鳶と日を吊れば

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