名曲に名作に夏痩せにけり 高柳克弘

所収:『未踏』ふらんす堂 2009

夏バテなのか最近体調が優れない。この記事も本来は木曜日に挙げていなければいけないのだけれど、体調の優れなさに身をまかせているとすっかり忘れていた。すみません。

掲句の季語、「夏痩せ」は夏の食欲減退で体重が減ってしまうことを指す。
しかし、掲句を読むと「名曲」と「名作」によって「夏痩せ」が起きているかのように書かれている。

「名曲」や「名作」の持つ力は鑑賞者を感動させるなどのポジティブな方向に働くとは限らない。作品の持つ力に圧倒されて滅入ってしまうこともある。「名曲」と「名作」が連なって書かれることで重みが増し、そのニュアンスが強く掲句には表れている。

掲句の収録されている句集『未踏』には〈 マフラーのわれの十代捨てにけり 〉〈 卒業は明日シャンプーを泡立たす 〉等の青春詠が多くあるが、掲句にもその匂いは感じられるかもしれない。

記:吉川

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