氷林午餐 柳元佑太

  氷林午餐(ひやうりんごさん) 柳元佑太

氷林へ婚擧げに來つ地下鐵(めとろ)にて
銀杏落葉水漬きて金や擧式明日
親と酌めば凍星擧式前夜たり
銀河凍つ窓邊に手紙(ふみ)を書く妻に
摩し合ひて飛べり不眠の綿蟲ら
冬日掌に熱く汲むべし妻化粧ふ
枯木らと妻の化粧ひを呆け待つ
むさゝびやドレス着ずとも抑(そも)妻美し
瀨に息(やす)む馬いや蒼き冬の婚
氷る馬たは易く出來異性婚

氷斧(き)る神父三人や午寂(ひるしづか)
日矢氷りあり敎會は椅子の默
吾らの爲めや讚美歌も狐火も
吾れ神を持たざるゆゑに冬木に誓ふ
家父長として野兎を追ひ廻す
風上へ鷹流れ初む婚いよゝ
梟の懶(ものう)き晝を婚禮す
雪意有り皿にサーモン橫たはり
來し方に惡友多き氷かな
ケーキ入刀水禽の柔(やはらかさ)

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