とかくして笠になしつる扇哉 蕪村

所収:『蕪村俳句集』岩波書店   1989

蕪村の愛用語だという、とかくしてがこの句では心の動きを表現している。日射しが強くて暑い夏、外に出て手にした扇をあおぐかそれとも日よけにするか、しばらく悩んで笠になしつる。確かに外で一生懸命に扇をあおいだとしても、風は生ぬるくてまったく涼みの足しにならないだろう。暑いなか、多少の涼でも求めようとする実感の伝わる一句。

記:平野

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