春の夢 吉川創揮

 春の夢   吉川創揮

ささくれの喉まで花の夜の降りる

乾杯の高さに春の月ありき

鶯や手首に青を催して

恋歌よ時間は桜呑み干せる

長き日の嘔吐に遣ふ筋あまた

草餅や公園に散る白きこゑ

空耳の木々を光ながらに風

瞬きとしやぼん玉とが搗ち合へば

行く春の扉に小さき扉あり

白魚や目で天井に夢記す

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