所収:『フラワーズ・カンフー』ふらんす堂 2016
シガレエテとは紙巻き煙草のこと。視覚で捉えた煙草の煙のイメージを音韻という切り口で表現しているのがおもしろい。
3度でてくる「ぐ」の音の強烈な印象と、それとは対照的なやわらかな印象の「ゆふ」「さゆ」の響きが混在することで、音に緩やかなメリハリが生まれ、煙が昇る様を思わせる。
「さぐり」「さゆらぐ」の頭韻、「ぐれ」と「ぐり」の相似の響き、シガレットではなくシガレエテという語を選択し促音を避けたことなど、音韻への心配りが1句全体に行き届いており、口に出すと呪文のようで楽しい。
記:吉川