公園の冬温かし明日世界は  上田信治

所収:『リボン』 邑書林 2017

公園を歩いていると思い出した1句。

「公園の冬温かし」はなんてことない平和な日常を感じさせるフレーズである。そこから「明日世界は」と大きく展開されていくのがこの句の妙。

「温かし」(a ta ta ka si)「明日」(a si ta)「世界は」(se ka i ha)というように見ると、a音の連なりと、a音+i音のセットの繰り返しが生むリズムが中7と下7を繋げている。
上5中7の醸す平和的なムードはリズムに乗って下7まで続いていく。そうして、「明日」「世界」という抽象的かつ重いワードも、漠然としているからこその明るさに印象を変える。

口に出して読み上げる度に嬉しくなる1句。

記:吉川

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